「青葉被告に死刑を科すことが残虐な刑罰に当たらないか」「人を殺すことは悪いことなのに(死刑が)正当化されることが許されるのか考えてほしい」。弁護側は被告が極刑を求刑される可能性があるとの前提に立ち、死刑制度そのものへの疑問を投げかけた。過去の最高裁判決を引用し、死刑を「残虐な刑罰」と位置づけた上で、裁判員らに慎重な判断を求めた。
「この裁判と死刑制度を一緒に議論するのは適切ではない」とくぎを刺したのは、25歳の娘を失った父親だった。父親は被告の犯人性は明らかであり、冤罪(えんざい)による死刑の可能性はないと主張。「死刑制度の話し合いは別の場所で行っていただきたい」と語気を強めた。
法廷で突如として起こった死刑制度を巡る議論。元裁判官で法政大学法科大学院の水野智幸教授は、弁護側が法廷で死刑制度そのものについて問うたことに「遺族側の怒りの感情は当然理解できる」とした上で、「日本社会が死刑というものを考える大きな機会にもなっている」と指摘。死刑回避を訴える弁護側への遺族の強い反発や、被告への処罰感情などを踏まえた議論が「死刑制度を続けていくべきか否かを判断する上で、後世に残る重要な問題提起でもある」と位置付けた。
死刑は究極の刑罰であり、慎重な判断が求められるのは当然だ。しかし世の中には、厳刑をもってしかあがなえない罪だと多くの日本人が考えるケースもある。死刑廃止を国際的潮流であるとする意見がある半面、内閣府の世論調査(令和元年)では「死刑もやむを得ない」との回答が8割を超えている。
産経新聞
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出典:www.nhk.jp