現代ビジネス
https://gendai.media/articles/-/108255
魚は少し増やすほうが良いにしても、食物繊維は足りている。肉は食べてはいるが欧米ほどじゃない。野菜も十分摂取できている。こんな日本で、なぜ大腸がんが減らないのでしょうか?
大腸がんの原因が単純でないのは、一つには大腸そのものが複雑だからです。先に書いたように、部位によってがんの発生率が違い、がんの発生原因が異なる可能性もあります。たとえば結腸がんと直腸がん。日本では、以前は直腸がんが多かったのが、次第に結腸がんが増えて、今では結腸がんのほうが発症率が2~3倍高くなっています。発生原因にも違いがあって、直腸がんは塩分の取り過ぎが関係することが知られています。このことから直腸がんは、結腸がんの性質と胃がんの性質の両方を持っていると指摘する専門家もいます。
さらに、大腸がんは発生する道筋も一つではありません。
~略~
飲酒、喫煙に加えて、大腸がんを招くのが机に向かう仕事、デスクワークです。なかでも結腸がんの発症率が上がります。オーストラリアの研究者らは、デスクワークを10年間続けた人は、デスクワークについたことがない人とくらべて、大腸がんの発症率が2倍高いと述べています。
また、日本でおこなわれた研究で、立ち仕事の人とデスクワーク中心の人を比較すると、立ち仕事の人は、大腸がんの発症率が70%以上低かったと報告しているものがあります。そして、日本人約6万5000人を対象とした大規模な調査によると、立つ、歩く、走る、重いものを持つ、激しいスポーツなど、すべてをひっくるめた身体活動が多い男性は、結腸がんの発症率が40%以上低くなりました。女性については、はっきりしたデータが得られていません。
大腸がんは、北海道、東北、山陰という、冬に雪が積もる地方で多い傾向があり、国立がん研究センターによる2016年の全国推計値で死亡率が最も高かったのは青森県でした。これも、体をあまり動かさない生活と大腸がん発生の関連を裏づける証拠の一つと言えます。机に向かう時間が長いと結腸がんが増える原因については、肥満になりやすいこと、腸の動きが悪くなって、発がん性物質の影響を受けやすくなること、胆汁分泌の乱れ、免疫機能の低下などが考えられています。
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