「注意していたのに、とうとう新型コロナウイルスに感染してしまった」という声が相次いだ第10波。
東京・品川区の荏原医師会の木内茂之会長(59)に第10波の傾向と、今後も繰り返すかもしれない感染の波から身を守る対策を聞いた。
「何度も感染します。2度目、3度目という患者がきます」レトロな町並みが続く旧中原街道近くの地域密着型病院で診療を続けてきた木内院長が警告する。
年に2度感染した患者や、2、3カ月ごとに再感染する患者がいる。
ワクチン接種やコロナに罹患(りかん)することで増強される感染・発症予防効果は短期間しか持たないのだ。
第10波の典型的な症状は、熱や喉の痛み、せき、鼻水で、これまでと変わらない。全く無症状のケースも多い。
新型コロナの5類移行に伴い、感染者に対する法的な行動規則は、発症から5日の出席停止などを求める学校保健安全法を除いてなくなった。第10波の最中でも、電車内でマスクをせずにせきやくしゃみをしている人がいる。
木内氏は「危機管理を人任せにしないことが大切です」という。
「コロナが流行しているからマスクをする」 「ちょっと具合が悪いから外にいかない」など、個人が臨機応変に判断して行動を変えることができれば問題はないという。
アップデートされたワクチンは今後も接種を受け続けた方が良いのだろうか。
木内氏は、①重症化率が減る ②後遺症が残る確率が減る ③強毒化したウイルスが出現する可能性は完全にゼロではない――などの理由を挙げ、「ワクチン接種をぜひ続けてほしい。 副作用が強かった人はプラスとマイナスをてんびんにかけて判断して」という。
「重症化率が下がればインフルエンザと同じで怖くないという人もいますが、インフルエンザに比べて抗ウイルス剤が効きにくい、と感じる。だから、医師としてはコロナの方が嫌ですね」
毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20240223/k00/00m/040/213000c