人口が減るとは、「社会全体としての総消費時間」が減ることでもある。24時間営業とは、消費者の人数が少なくなることによる目減り分を、一人一人の消費時間を長くさせることでカバーしようという発想だ。
日本の対面型の24時間営業は、コンビニエンスストアやファミリーレストランをはじめとして、牛丼店、食品スーパーマーケット、ドラッグストア、スポーツジム、サウナ風呂、ガソリンスタンドなど多岐にわたる。インターネットの普及で「いつでも、どこでも」のサービスに慣れてしまったこともあって、24時間サービスの店舗がない場所のほうが不思議に思えるほど“当たり前の風景”として定着してきた。
24時間営業店舗が急増してきた背景を振り返ると、当初は人口減少対策というよりバブル経済崩壊に伴う景気低迷の起死回生策の意味合いが強かった。
バブル経済の崩壊後に本格化し、人口減少に伴うマーケットの縮小対策としても期待されて右肩上がりに増えてきた24時間営業であったが、「コロナ禍」によって大きく潮目が変わったことは間違いない。飲食店やオフィス街のコンビニエンスストアなどで早めに営業を切り上げるところが目立つ。
感染拡大防止のための営業時間の短縮が進むうちに消費者の暮らしのテンポ自体が変わってしまったことに加え、テレワークが普及して“おうち時間”を軸とした家族との生活を重視する人が増えたためだ。オフィス街を中心に店舗を展開していた企業は、深夜時間帯まで開けていても割に合わなくなったのである。
現代ビジネス
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