中学受験世帯の3割は年収600万円未満 それでも「公立を避けたい理由」の切実さ
マネーポストWEB
https://news.yahoo.co.jp/articles/d9d68e06450a3b59db07fe827b68cebf769ca988
わざわざ私立中学に行かせようというのは贅沢な行為だという指摘もあろうが、中学受験生の家庭のすべてに経済的な余裕があるわけではない。実際、私立中学の生徒の家庭のうち47.7%は世帯年収800万円以下で、27.9%は世帯年収600万円未満である(文部科学省「子供の学習費調査」平成30年公表)。世帯年収600万円だと手取りが470万円ほどで、私立中学の平均的な学費70万円を支払い、住宅ローンや生活費を考えると余裕がない。つまり、カツカツでも私立中学に子供を通わせる層がそれなりの数いるのだ。
~中略~
Aさんがびっくりしたのは、女の子に対して、蹴ったり、押したりと暴力を振るうことだった。私も取材をしていてその点に驚く。他の小学校でもいじめが過激になっていることだ。
昭和の時代、小学校で男子から女子へのセクハラや言葉のいじめはあったが、男子が女子に手を上げるようなことは、私の記憶にはない。しかし、今は男子から女子の身体への攻撃もよく聞く。2月7日に文部科学省が「学校で重大ないじめが起きた場合、速やかに警察に相談・通報をすること」という旨の通達を出した。文科省も無視できないほどの深刻ないじめが多くなっているということだろう。
「一度、娘もその男子たちに囲まれて、お腹を蹴られ、泣きながら帰宅したことがあったんです」
夫は激怒して、相手の家に怒鳴り込もうとした。Aさんは必死で止めた。
「暴力を振るう子の家庭もなにか問題を抱えている場合もありそうじゃないですか。トラブルに発展する可能性もあると思ったんです」
そうなると、Aさんも悩み始める。
「他の子がいなくなったら、いじめのターゲットが減ります。そうしたら、うちの子がさらに狙われるんじゃないかなと思ってしまって」
そう考え始めたタイミングで、娘本人も「私も中学受験をする」と言い出す。通塾している友達が「女子校に行く。男子がいないんだよ、最高じゃん!」と口にし、影響を受けたようだった。夫も娘が蹴られたのに学校が対応してくれなかったことにショックを受け、公立志向を撤回し、中学受験に前のめりになっていく。