東京都国立市で1月に行われた自治体主催の婚活パーティーについて、市が広報で参加者を募る際、申し込み条件に男女で年齢差をつけていたことがわかった。市は、市民から苦情を受けて謝罪し、訂正した。
男性は49歳、女性は44歳までで募集
市によると、昨年12月5日号の広報で、男性は28~49歳、女性は23~44歳という条件で各15人を募集した。同日に市民から苦情が寄せられ、次号の広報で「年齢差を設けることは適切ではない」として、対象年齢を男女ともに23~49歳に訂正した。
国立市議10人が1月、連名で検証と再発防止を求める申入書を市長に提出。「性別に年齢差をつけただけではなく、そこに上限を設けたこと、また女性の出産可能年齢を条件としたことでこの事業が少子化対策と捉えられることは問題」としている。市は学識者や市民らからなる国立市の男女平等推進市民委員会に諮問し、審議中だ。委員会は21日にも答申を出し、それを受けて市は今年度内にも検証結果や再発防止策を公表することを検討している。
国立市の宮崎宏一・政策経営部長は取材に対し、「今回のイベントは出産が前提の少子化対策ではなく、あくまで移住対策としての出会いの場の提供だった」と説明。その上で、「出産可能年齢と受け止められかねないという点で、人権への配慮が足りなかった」と話した。
運営は一般社団法人「日本仲人の会」に委託。同会が、既に行われた稲城市での婚活パーティーで男女同じ年齢幅で募集したところ、女性は40代、男性は20代が多かったことを理由に、男女に年齢差をつけることをメールで提案し、市が受け入れたという。
同会の加藤幾子代表は、「民間の婚活パーティー業界では、年齢差をつける慣習が続いてきた。男性も女性も子どもを望む人が多いと思うため、この年齢を設定した」と説明する。一方で、「市民の声を受けた今回の修正は、時代に合わせて業界も変わっていくべきだというメッセージと受け止めた」と話した。
40年超結婚相談に関わってきたNPO法人全国地域結婚支援センターの板本洋子代表は、年齢差を設けることについて、「民間では今も行われているが、問題視されてこなかった。自治体が行う結婚支援では近年は聞かなくなった」と話す。「女性差別や年齢差別など人権に関わる意識が鋭くなったこと」が背景にあるとみる。
朝日新聞
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出典:www.asahicom.jp