広島市南区の西洋菓子カトルフィユ。「この5年、売れずに残ったクリスマスケーキはありません」。オーナーシェフの森脇修さん(53)から意外な言葉が出た。理由は2019年に始めた「完全予約制」。
コンビニ各社でも予約が主流になってきたという。ローソン(東京)では今年、あるスイーツの予約販売が話題を呼んだ。通常商品のロールケーキの端材を材料の一部にしたティラミスだ。同社広報部は「ロス削減に貢献できる点に価値を感じてくれる消費者は多い」と受け止める。
余ったケーキに手を加え、新たな魅力を引き出す店もある。広島市中区のポワブリエールは焼き菓子に早変わりさせる。シェフの市原董永(まさなが)さん(77)は「技術と手間は要るがフランスでは当たり前」。コンディトライ・フェルダーシェフ(広島県廿日市市)は、製造過程で出る生地の端を小袋に入れ、50円で売る。収益は日本赤十字社などに寄付する。両店とも普段から取り組んでいるが、今の時季は特に販売量が増えるそうだ。
取材中、今は予約に力を入れる店主からはっとする一言を聞いた。「店頭には商品がいつでもあって当たり前という雰囲気があり、最初は恐る恐るだった」。ロスを生むサイクルには、私たち買う側もがっちり絡んでいる。あらためての気付きが今年のクリスマスプレゼントかも。
中国新聞社
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