安倍派の裏金問題で松野博一官房長官、西村康稔経済産業相、鈴木淳司総務相、宮下一郎農相の4人が更迭された。それを受けてか、毎日新聞が17日に発表した世論調査では、岸田政権の支持率は16%まで落ちた。
フランスの政治・国民事情にも詳しいフランス哲学者の福田肇氏は「フランスなら、岸田政権はとっくに転覆されている」というーー。
日本人はさながら飼い慣らされたペットのようだ。「お上」に楯突くことはあり得ない日本国民の残念さ
フランス人のメンタリティに通底しているのは、権力の動向に対して、なっとくがいかないことがあればそれを公共的に表現するという姿勢であり、デモクラシーはそうしないかぎり維持されないという健全な危機感だ。
それに対して日本人は、国会議員をいまだに「~先生」と呼びならわす。「地盤」の後援会が保守派の世襲議員を再生産する。もともとの「地方名士」が潤沢な資金と人脈を元手に政界に進出する。政権の担い手は、依然として「大名」たちであり、「特権階級」であり、「お上(かみ)」なのだ。「お上」がどれほどごムタイを働いても、どれだけ「年貢」を取り立てても、その「年貢」で「お上」が遊興に浸り私腹を肥やしていても、「庶民」が「お上」に異議申し立てをする発想をもつはずがない。
政権を担う政治家たちにたいする特権性の付与と抵抗の放棄は、けっきょく、物価高、税の引き上げ、生存する権利の剥奪によって厳しい制約を被ることが常態化している所与の世界のなかで、ふと垣間見るちっぽけな楽しみ、幸福感にもっぱら人々の関心を向けるだろう。首輪をつけて拘束され、〈飼い慣らされた〉ペットが、日々の散歩と餌のなかにささやかな楽しみを見出すのとよく似ている。
MINKABU
https://news.yahoo.co.jp/articles/0e2f95376809e4ba1adaccc431f703d5a6766c58